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日本固有の淡水性ラン藻

熊本・水前寺で発見
 スイゼンジノリ(学名:Aphanothece sacrum(Sur.) Okada)は、1872(明治5)年に、オランダの植物学者・スリンガーが、水前寺・江津湖(熊本市)において発見し、新属新種のラン藻として『日本藻類図鑑』の中で世界に紹介した淡水産ラン藻の一種です。
 スリンガーは当初、学名を、Phyloderma sacrum Suringarとしました。Sacrum (サクルム)とは、「神聖な」という意味で、彼が発見地である、水前寺・江津湖に敬意を表して、この形容詞を用いたと言われています。
 その後、1953(昭和28)年、動植物学者・岡田喜一氏は、これが水田に生えるハマミドリの同属として、学名を改め現在に至っています。

キクラゲに似た寒天質の塊
 日本固有種であるスイゼンジノリは、一見、キクラゲを思わせる緑褐色ないし茶褐色の寒天質の塊(写真1)で、湧水のような美しい水に限って生育します。
 寒天質の中には、多数のマユ型単細胞(写真2)が散在し、常時、2分裂しながら、同時に細胞外に粘性物質を分泌して増殖します。
 スイゼンジノリ本体(細胞)の大きさは、短径:3~4マイクロ、長径:6~7マイクロであり、顕微鏡でなければ、観察できません。



新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ
新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ



by beauty-moisture | 2017-02-21 08:34 | 新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ