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半分以上は寒天質
 スイゼンジノリは単細胞生物なので、細胞体が集合して生育する場所が必要です。これが、細胞体の周りを覆っている寒天質です(写真8)。
 スイゼンジノリは、その重さの半分以上が寒天質から出来上がっており、その生産量は極めて大きいことが分かります。この理由で、スイゼンジノリはキクラゲのようにプヨプヨした感触を示すのです。
 もし、この寒天質がないと、せっかくスイゼンジノリの細胞が川の中で細胞分裂を起こしても、すぐに流されてバラバラになってしまいます。したがって、寒天質には細胞体を集合状態に保つはたらきがあります。

外敵から護るバリケード
 じつは、寒天質のはたらきはこれだけではなく、細胞を外敵から護るバリケードのような役割も持つと考えられます。
 何を隠そう、われわれ人間の体を構成する細胞の周りにも寒天質があり、細胞体を護ってくれています。人間のこの寒天質のはたらきは、太古の生物から受け継がれている作用なのです。

新規多糖類を命名
 この寒天質は、デンプンのような糖の固まりで出来ています。しかし、この糖は鎖のように連なった「多糖類」という状態になっており、まったく甘くありません。
 そこで、スイゼンジノリの寒天質に含まれる多糖類がどんなものなのか調べるために、以下の方法で取り出してみました。
 川から採取したスイゼンジノリを、ドライクリーニングのように有機溶媒で洗浄した後、アルカリ水に溶かすことで抽出した結果、繊維状の物質が得られました。
 この物質の構造を調べた結果、今まで見つかったことのない糖から構成された新規の多糖類であることが分かりました。
 そこで、発見者である岡島らは、この多糖類を、スイゼンジノリの種名である「sacrum」の語尾をan(多糖類という意味の接尾語)に置き換えることでsacran(サクラン)と名づけました(写真9)。


※写真省略


新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ
新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ


# by beauty-moisture | 2017-02-23 12:24 | 新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ

今は絶滅危惧ⅠA類に

珪藻類が大量に発生
 1993年までは、スイゼンジノリ野生株が大量に自生していた特別保護区内(面積約2700㎡)でも、流速の遅い場所では、ボタンウキクサなどがかなり繁殖するようになり、1996年5月以降、珪藻類のMelosira varians が大量に発生しました。
 ラン藻であるスイゼンジノリは、窒素固定を行なうため、水中の窒素濃度が低いほど、他の藻類との競合に適し、逆に、水中窒素濃度が上昇すると、ふだん清流に生育する珪藻類などが増殖を始め、スイゼンジノリは生存競争に敗れてしまいます。

進む富栄養化、減る湧水量
 表1に、著者(椛田)が会長を務める江津湖研究会(創立:昭和57年2月)が行なっている水質分析の結果を示しています。
 湧水湖である江津湖は、水温が年間を通じ約18~19℃とほぼ一定であり、pHも年間を通じpH7~8の弱アルカリ性です。
 しかし、全窒素(T―N)が、1990年では、2.9~3.1㎎/?であったのが、2005年では、3.8~4.3㎎/?と増加していました。これは、湧水(地下水)そのものが富栄養化していると推定されます。

“砂踊り”の箇所も消滅
 さらに、湧水量についてみると、江津湖およびその周辺の湧水量は、昭和37年には約89万?/日であったものが、現在では若干の年変動や季節変動はあるものの、平均すると約40万?/日 と半減しています。
 特別保護区内においても、“砂踊り”が観察されるほどの湧水が生じている箇所が25年前には7ヶ所ありましたが、現在、そのほとんどが消滅しています(写真7)。
 この湧水量の減少と、水質の富栄養化によって惹起された、珪藻類・Melosira varians の大量発生により、スイゼンジノリは光合成を阻害され、その野生株は一挙に激減しました。
 そして、1997(平成9)年秋、スイゼンジノリ野生株は、環境庁(当時)作成による植物版レッドリストにおいて、絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高い種)に分類されました。





新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ
新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ



# by beauty-moisture | 2017-02-22 09:18 | 新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ

日本固有の淡水性ラン藻

熊本・水前寺で発見
 スイゼンジノリ(学名:Aphanothece sacrum(Sur.) Okada)は、1872(明治5)年に、オランダの植物学者・スリンガーが、水前寺・江津湖(熊本市)において発見し、新属新種のラン藻として『日本藻類図鑑』の中で世界に紹介した淡水産ラン藻の一種です。
 スリンガーは当初、学名を、Phyloderma sacrum Suringarとしました。Sacrum (サクルム)とは、「神聖な」という意味で、彼が発見地である、水前寺・江津湖に敬意を表して、この形容詞を用いたと言われています。
 その後、1953(昭和28)年、動植物学者・岡田喜一氏は、これが水田に生えるハマミドリの同属として、学名を改め現在に至っています。

キクラゲに似た寒天質の塊
 日本固有種であるスイゼンジノリは、一見、キクラゲを思わせる緑褐色ないし茶褐色の寒天質の塊(写真1)で、湧水のような美しい水に限って生育します。
 寒天質の中には、多数のマユ型単細胞(写真2)が散在し、常時、2分裂しながら、同時に細胞外に粘性物質を分泌して増殖します。
 スイゼンジノリ本体(細胞)の大きさは、短径:3~4マイクロ、長径:6~7マイクロであり、顕微鏡でなければ、観察できません。



新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ
新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ



# by beauty-moisture | 2017-02-21 08:34 | 新発見「サクラン」と伝統のスイゼンジノリ

真皮が肌にハリや弾力を与える
 若々しく健康な肌は、ハリや弾力に富んでいますが、この肌のハリを作り出しているのが、さきに述べた網のような構造をしたコラーゲンです。このコラーゲンの網が表皮を内側からしっかりと支えることで、肌にハリが生まれます。
 また、肌の弾力に関与しているのが、弾力線維といわれるエラスチンです。エラスチンは、コラーゲンの網の目の結び目部分で、バネのような働きをして弾力を生み出しています。
 一方、基質の成分であるヒアルロン酸とプロテオグリカンは、たくさん水分を含むことで、肌にみずみずしさを与えます。特にヒアルロン酸は、一グラムで水六リットルを蓄えられるほどに、非常に保水性に富んだ物質で、肌の保湿にとって極めて重要なものです。
 そして、これらの真皮の成分を作り出しているのが、線維芽細胞です。

シワ・たるみの原因は合成能力の衰え
 若く元気な時には、この線維芽細胞の働きも活発で真皮の成分を十分に作り出すことができますが、年齢とともにその合成能力は衰えてしまいます。
 そうなると、十分な量を作ることができなくなって、ヒアルロン酸やプロテオグリカンの量が減少して肌の保水力が低下し、ツヤのない乾燥肌になりがちになります。
 また、こうした基質が少なくなることで、コラーゲンの整然とした網の目の構造が崩れやすくなってきます。
 その結果、コラーゲンの構造が崩れ始めると、徐々に肌のハリや弾力が失われ、シワやたるみができてくるようになるのです。

グルコサミンでシワ、たるみを改善
 ヒアルロン酸は、私たちの肌にとって非常に重要な成分ですが、高分子のため、口から摂取しても、体内で吸収されにくいといわれています。
 しかし、グルコサミンを摂取すれば、線維芽細胞によるヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカンの合成が促進されます。
 それにより、真皮の基質は、十分な水分を含んだもとの正常な状態に戻ることができ、コラーゲンの網の目の透き間を満たすことになるので、コラーゲンの崩れが補修され、シワやたるみが改善されることになるのです。



膝の痛みを抑え、血液をサラサラにするグルコサミン
膝の痛みを抑え、血液をサラサラにするグルコサミン



# by beauty-moisture | 2017-02-20 09:18 | 血液をサラサラにするグルコサミン

健康は健全な血液から
 私たちの体内には血管が網の目のように張り巡らされており、全身の隅々にまで血液が行き渡るようなしくみになっています。
 この血液によって酸素や栄養分が運ばれることで、一つひとつの細胞の正常な新陳代謝が可能となり、それぞれの組織や器官が支障なく機能することができるというわけです。
 ですから、この血液の流れに滞りが生じると、体のあちこちに障害が発生し、動脈硬化やさまざまな病気、老化などの原因となってしまいます。

血栓を作る原因はドロドロ血液
 血液の流れを滞らせる大きな原因となっているのは、俗にドロドロ血液と呼ばれるものです。
 ドロドロ血液とは、中性脂肪やコレステロールといった脂質を多く含んだ血液や、赤血球や血小板などの血液中の成分が、互いにくっついて塊を作っている血液のことです。
 こうした状態の血液は、血管の中をスムーズに流れることができません。とくに、毛細血管のような細い血管では血液が詰まりやすくなってしまい、恐い「血栓」を作ってしまいます。
 ドロドロ血液の原因としては、食事における脂肪分や糖分の摂りすぎ、喫煙や過度の飲酒、ストレスなどがあげられます。
 最近、グルコサミンの新しい効果として注目されているのが、こうしたドロドロ血液を改善し、流れやすいサラサラ血液にする作用です。
 では、その作用とはどのようなものなのか、次に紹介したいと思います。



膝の痛みを抑え、血液をサラサラにするグルコサミン
膝の痛みを抑え、血液をサラサラにするグルコサミン



# by beauty-moisture | 2017-02-19 10:47 | 血液をサラサラにするグルコサミン